モウソウチク(孟宗竹) イネ科タケ亜科マダケ属 常緑多年草

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 岩国市の明橋、錦帯橋を渡り吉香公園を抜けて錦川の右岸を遡ると、川筋は城山北麓を捲いて北から南西へと鋭くカーブしている。ここに拡がる広大な河原が千石原で、ここから延々と上流の南河内まで、両岸には見事な竹林が続いている。これが京都の嵯峨、岐阜の揖斐と並んで日本の三大美竹林といわれる御庄竹林で、総面積三四〇ヘクタール、この内、三分の二がマダケ、残りがモウソウチクだそうだ。
 山口県は竹材生産量では鹿児島県、熊本県に次いで全国三位、県内の竹林面積は八七〇〇ヘクタールで御庄竹林はその四パーセント、決して特筆するほどの規模ではないが、錦川の清流との絡み合いが如何にも鮮やかで、そのため全国に名を馳せることになったのだろう。

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 県内のどこの裏山に入って到るところに竹林はあり、春にはニョキニョキ伸びた筍は放ったらかし、というよりは一~二メートルのものを片っ端からなで切りにし、束にして投げ棄ててある。筍として出荷しても労力に見合うだけの値がつかず、親竹に育てても竹材の需要はほとんどないからだろう。御庄の竹材の需要も今では広島のカキいかだぐらいだそうだ。
 筍という字は竹かんむりに旬。旬は一〇日の意で、つまり筍の(じゅん)は地上に頭を抬げてから一〇日までで、それ以後は竹になってしまう。筍が竹になってしまうとわが児の生誕に一切のエネルギーを使い果たした親竹は急激に黄葉し、やがて落葉する。俳句でいう“竹の秋だ”。“竹の春”“竹の秋”と竹を特定して季語があるのは竹の場合、春秋が逆になっているからだろう。秋になると一人前に成長した若竹と競い合うように親竹も一斉に青々とした枝葉を拡げて竹冠をおおいつくす。

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横山・岩国城を背景に錦川と御庄竹林
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